ロングスリーパー、ショートスリーパー

子供の頃はとにかく寝ない子だったので、親からはショートスリーパーだと思われていたようだ。

夜眠れないまま朝を迎えるのに、幼稚園に入る前から昼寝もしない。

将来受験する時、そのことが役に立つだろうと言われていた。

 

しかし、高校受験を控えた中学3年生になると、いくらでも寝られるようになった。

というか、勉強するために起きていることができなかった。

 

ずっと座って勉強していられないし、部屋が寒かったので布団にくるまりながら参考書を読む。暖かいし楽だし「ラッキー!」なんて思いながら。

で、お尻が温まると眠さに勝てずに気づいたら寝落ち。朝。部屋の照明はつけっぱなしで、寝た気もしなくて最悪だった。

学校へ行っても眠くて眠くて、50分の授業を最後まで聴くことができなかった。体育の授業でも眠かった。

私は実はロングスリーパーで、日常生活を人並みに送るためには1日が24時間では足りないと、当時は結構悩んでいた。社会人になったら、生きていけるのだろうか。。

 

そんな私も社会人になる時が来た。

正社員時代は、不思議なことに睡眠時間が極端に短くても動けていた。

残業をして、帰宅して、ご飯を食べてお風呂に入ればもう夜中の12時。そこから布団に入り、気分が休まった感じもないのに朝4時になれば目が覚めてしまうのだ。

私は性格的に、出勤してすぐに仕事を言いつけられたり、バタバタ動くのが本当に苦手で、何か飲み物を飲むくらいの時間は必要だ。

だが私が若かりし頃の職場というのは始業時間前に出勤しても、姿を見せればすぐその場で仕事を言いつけられるのが、割と普通だった。

だから誰よりも早く、上司よりも先輩よりも早くに出勤して、気持ちを整えたい思いがあった。だから始業の2時間も早くに出勤していたため、早起きする必要があったのだ。

その代わり休日は昼過ぎになっても体が動かずずっと寝ていた。

社会人とは、そうやって調整しながら仕事をするものだと思っていたが、仕事の内容そのものが自分には合わなくて、入社1年もしないで辞めてしまった。

 

その後はアルバイトをしたり、また正規職員になったり、様々な働き方をしたが、アルバイトの時は出勤に間に合うまで寝て、正規職員の時は早朝に起きて、といった具合だった。

 

1日の睡眠時間が長かった時も、短かった時も、共通していたことがある。

朝起きてすぐには動けないことだ。

目が覚める。ぼーっとする。嫌なことも思い出す。それについて、どう受け止めてその日を乗り越えるか自分なりに検討する。起き上がる。トイレに行く。元気づけのちょっとした「おめざ」を食べながらコーヒーを飲む。

ここまで、誰とも会話をしないことが重要で、親でも兄弟でも、話しかけられたらぶち壊し。もう一度最初からやり直さないと調子が悪い。

 

もちろん、毎朝このルーチンをこなせるわけではない。どうしてもギリギリまで起きられないこともよくある。そうなると、もうその日は一日調子が悪い。何をやっても気持ちがついていかない。

 

今にして思えば、私は自分にとっての適正な睡眠時間をわかっていなかったのだ。

また、しっかり眠れていなかったと思う。

 

40代半ばに睡眠導入剤と出会うまで、私はよほど疲れた時意外熟睡したことがなかった。